花は野にあるように
「舞台の上のミキは、ミキが舞台に立った時に生まれて、ミキが舞台を降りた瞬間に消える、儚い命の持ち主なんだ。
だから、少しでも輝かしてやりたくね?」


リョクは大きな掌で、僕の頭を撫でながらそう言う。


「そ………れは、そう思うけど。」


「んじゃさ、初めてのミキにはちょっと辛いかもしれないけどさ、俺がやる王子の為だけの白雪姫、頑張ってみてくれねえか?」


リョクに至近距離から顔を覗き込まれて、大好きな低音の声で囁かれた僕には。


ただ頷くだけしか出来る事はなかった。
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