花は野にあるように
「もちろん、出来る。
その為に、俺に出来ることならなんだってするしな。
でも、演劇で一番大事なのは、演る本人がその気になることなんだよ。
そうじゃなきゃ、まわりがどんなに盛り立てようとしても、フォローしようとしても、どうしようもないんだ。
だけどさ、ちょっと騙しちゃうみたいになって悪かったんだけどさ、やる気さえあれば、ミキが同情してくれたような、さっきの気弱な俺にだってなれるんだよ。
ホントに、気持ちだけでなれるんだって。」


温かい腕の檻の中に閉じ込められて、見上げているリョクの唇が一生懸命に言葉を紡ぐ。
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