花は野にあるように
その言葉は、魔法の呪文のように僕の心にするりと入り込んで。


そうして、きゅうっと絡めとっていく。


他の女の子達に譲りたくないっていう、ただそれだけの気持ちから、やるよって宣言してしまった僕だけど、主役の白雪姫をやれる自信なんて、本当は少しもなかった。


だけど、リョクの言葉を聞いているうちに、まだ、自信は持てないけど。


不安な気持ちが、吸い取られたようにぐんぐんと減っていく。


「リョクが、居てくれるなら。
それなら頑張れると思う。」


リョクを見上げながら、そう言うと僕はリョクの胸に顔を埋めた。
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