花は野にあるように
「ん。
俺でよかったら、ミキのために目一杯王子役を頑張って演るよ。
だから、ミキも怖がってばっかりしてるんじゃなくてさ、思いきって別人としてはじけてみろよ。
大丈夫、だからさ。」


リョクの大きな掌が、僕の頭をゆっくりと撫でてくれる。


その気持ちよさと、リョクの低く落ち着いた声に、促されるように僕は頷いた。


「うん。」


僕の口から出た小さな声は、くぐもっていて聞こえた筈はないって思ったんだけど。


リョクの掌はクシャリ、と僕の髪をかきまぜた。
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