花は野にあるように
「……………また。」


少し呆れたような表情のリョクが、座っていても少し高い視点から僕を見下ろして。


「んな無防備に、すっげぇズキュンって来る笑顔向けるなよ。」


優しく言うと、リョクは突然に。


「うりゃ!」


と。


僕の髪をメチャクチャにかきまぜた。


「あっ!
や、やだぁっ!
止めてっ、リョク!
鳥の巣みたいになっちゃうから、ダメだってっ!」


身体をよじってリョクの手から逃れようとするけど、僕はベンチの端から落っこちそうになっても逃げられなくて。


「やだぁ。」


ぐちゃぐちゃ頭の僕に、変えられてしまっていた。
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