花は野にあるように
リョクにそう指摘された小林さんは、手にしている台本のページを爪の先で弾きながら、少しの間リョクの事をじっと見つめていたんだけど、諦めたようにハァ、と溜め息を付いた。


「お見通しかぁ。
事後承諾で行きたかったんだけどなぁ。」


少し肩を落としたような小林さんが、持っていた自分の台本の間に挟み込んであった一枚の紙を抜き出して見せてくれる。


「現物はまだ作ってないから、ラフ案だからねー。」


そう言って小林さんの見せてくれた紙には、ものすごく可憐な感じのする美少女のイラストが描かれていた。
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