花は野にあるように
「そんな風に照れた顔が、すっげぇ可愛いんだって。首まで紅くしちゃって……キスマーク付けていい?」


最後の部分を僕の耳に囁いたリョクの息が、僕の首にかかる。


その途端に、ゾクリとした感覚が僕の身体を走り抜けて、甘い痺れを残していった。


「な、何言ってるのっ!ゆ、夕日に照らされてるからだよっ!」


自分でも下手だなと思うぐらい、ぎこちなく言い訳する僕の言葉に、リョクは笑い出したりもしない。


んー、そうだな、と受け流してくれた。


その優しさを嬉しいと思う僕と、少し強引でもいいから、してくれても良いのにと、少し残念に思う僕のふたつの想いが混ざりあって、なんだか僕は少し慌てた。
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