花は野にあるように
その優しい響きの言葉と同時に、また髪の毛をくしゃりと混ぜられて、僕の胸でとく、と音が響く。


「そんなツマンナイ理由なら、なおさら自分だけでやるべきなんだぞ?
なのに、あんなヤマゲンにまでミキは優しいんだな。
あいつはミキの事を覚えてないような失礼な奴なのに。」


リョクは初めて会った日に、山元先生が僕の名前を覚えていなかった事を、いまだにしつこいぐらいに引き合いに出す。


どうも、その事はリョクの中ではあり得ないぐらいにヒドイ事らしいんだけど………僕にとっては、あんまり不思議な事でもなかったんだけどな。
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