花は野にあるように
「先生はね、江戸菊が好きなんだ。
あの花好きな人って多いよね。
ぽってりとした感じのする花びらが密集した所が、良いんだって言ってたよ。」


「あぁ。
なんか一番、菊って言われた時に思い出しやすいやつだよな。
王様って感じにふんぞり返った印象のやつ。」


リョクのその物言いに、僕はつい笑ってしまった。


「確かに、王様っていうイメージがあるよね。
品評会だと必ず目立つところに場所を取ってるもの。」


クスクスと笑いながら、僕は力に同意する。


「でも、僕は伊勢菊の方が好きなんだけどね。」
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