花は野にあるように
黒板に大きく『大地 緑風』と。


そう書いた先生は、その人に挨拶をするように促すとちらりと腕時計に目を落とした。


「大地です。
とりあえず宜しく。」


短く切り揃えられた茶色い髪に、冬なのに日焼けした引き締まった顔。


背が高くてしっかりとした体格のその人には、前の学校の制服なのか、僕達とは違う柄の茶色のブレザーがすごく良く似合っていた。


「いい声だよね、寡黙そうなトコもアリだし。」


「足も長いよね、んーあの顔に迫られたい。」


ひそひそと女の子達が言葉を交わす。


………僕には一生縁がなさそうな評価だなあ。
< 9 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop