花は野にあるように
ずうっと、このまま歩き続けていたかったけど、僕達は小さな二階建の家の玄関に着いてしまった。


狭い門扉の横のスペースに作った花壇に、福寿草の花がまだまだ元気に咲いている。


この、白い壁の普通の家が僕の家。


「あ、あがっていって?」


玄関を入ってカバンを置き、リョクが持っていてくれた買い物バッグを受け取りながら、僕はそう声を掛けた。


「お茶ぐらい飲んでいってよ。」


「ん……いや。もう、遠慮するよ。気持ちだけ受け取っておく。」


リョクは玄関に足を踏み入れる事無く、そう言って首を振った。
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