花は野にあるように
同情………っていうのとは、ちょっと違うような気もしたんだけど。


「寂しかった………かな。
そん時はそう思っちゃいなかったけど。
あぁだけど、あの頃は夜を長く感じてたよなぁ。
そっか。
あれって、寂しかったって事だったのか。」


ふ、と笑いながらリョクが言う。


「夜が長い、の?」


「ん。
昼間はさ、なんか色々とやる事あるし、いつの間にか時間が過ぎるんだよな。
けどさ、夜になるとホンッとにやることなくてな。
時計とにらみ合いしても、全然針が進まなくて。
山にいれば、夜は焚き火を囲んでみんなで話をしたり、細工ものを作ったりしていた時間だったしな。」
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