花は野にあるように
しみじみとした口調で言うリョクの、その整った顔の向こうに6才のリョクが見えたような気がして、僕は言葉を挟めない。


それまで、一緒だった山の仲間の人達とも急に別れちゃったんだろうし。


きっと本当に寂しかったんじゃないかなぁ。


「まぁ、でも、そん時の俺はただ、退屈だと思ってただけだったんだけどな。」


ちょっと笑ってリョクは続けたけど。


それはどう見ても、僕を安心させようとして無理に笑ってくれたように見えた。


「そんな感じの生活があったからだろうな。」
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