花は野にあるように
「俺を留学させるのが、本当の理由だったみたいだな。
その年の秋にシュタイナー学校に入学して、俺は嬉しそうに学校に行くようになったって、オフクロはいまだに言うぜ?
俺はンナ事覚えちゃいないってのにな。」


ふ、とリョクがこぼした笑みが、僕の耳元を掠めていく。


「けど。
確かに、あそこは俺に合っていたんだと思う。
途中でくじける事なく、卒業出来たしな。
変な学校なんだぜ?
教科書はなかったし。
一番始めの授業は、クレヨンで線を引いて終わりだしな。」


やわらかく降ってくるリョクの言葉の中身に、僕は驚いていた。
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