花は野にあるように
ちょっと言葉を切ったリョクは、目の前にいる僕じゃなくってどこか遠い所を見るような目をしていた。


多分、きっと。


リョクはその時の小さかった自分を見ているんじゃないのかな。


僕にはそんな風に思えた。


「俺が俺のままで居て良いんだって。
そう思う事が出来てさ、すっごく気持ちが楽になった言葉なんだ。
なのに、そんな大事で恩義ある言葉の意味すら俺はすぐに忘れちまう。」


そう言って、リョクは視線を僕に戻した。


「それを取り戻させてくれる存在なんだ。
俺にとってのミキは。」
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