花は野にあるように
「………リョク。」


真摯に告げられたその言葉に、僕はリョクの名前を呼んだまま絶句してしまう。


そのまま、ただ見詰めているだけの僕にリョクはふっ、と笑みをこぼした。


そこへ校舎の方から予鈴の音が響いてくる。


その音に、リョクはちょっと校舎の方へと目をやった。


それから僕の事をもう一度見て。


「うぜえ事、言ったんだったらゴメン。
嫌だったら忘れてくれていいし。
だけど俺は嘘やデタラメは絶対に言わねえから。」


そう告げるとリョクは立ち上がって、教室へ行く為に片付けを始めた。
< 953 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop