花は野にあるように
「しっかり持ってろよ。」


吊り革を握った僕の後ろに立ったリョクが、そう言いながら僕の肩に手を置く。


「このカバンは、俺が持っておくよ。お前はしっかり吊り革握ってろ。」


リョクの言葉は低く、小さく。


でも暖かく僕に届いて。


リョクの手が置かれている僕の肩が、そこからじんわりとあったかくなっていくようで。


………やだな。


通学してるような気持ちになれないよ。


リョク。


君と居ると、なんだか僕は。


この間までの僕とは、違う僕になったみたいだよ。
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