花は野にあるように
目を閉じた自分だけの暗闇の中、耳に聞こえる音だけが僕に状況を教えてくれる。


上靴のかかとだけを少し床にこするように歩く、リョクの足音がゆっくりと近付いて来て。


そして、僕の前でその歩みが止まる。


次に何をされるのかは、台本に書いてあったからよくわかっているハズなんだけど。


リョクの足音が止まってからの時間がすごく長く感じられる。


教室の中のざわめきも、まるで聞こえなくて。


なんだかみんなに見られているんだっていう事を、本当に今更だっていうのに意識してしまう。
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