花は野にあるように
自分の心臓の音が、ものすごく大きく聞こえるように思えるし。


なんだか、みんなからの視線まで感じられるような気がして。


僕の全身が、急にカアッと熱くなったような感じがする。


だけど、まだ劇の練習は続いているし、小林監督の声も聞こえない。


胸の前で組まされている両手をぎゅうっと握りしめながら、僕は緊張のあまりについ身体をよじってしまった。


片足を折って斜めになっている不安定な机の上で。


うっかり僕が身体を動かしてしまった所為で、机がズズッと動いてしまった。


「わ、うわわっ!」
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