花は野にあるように
「ミキッ!」


驚いて変な声を上げる僕が慌てて振り回した腕を、力強い手が掴まえて、僕の名前を呼びながらグイッと引き寄せてくれる。


そのおかげで僕の身体はバランスを崩したまま床に落ちるところを免れた。


「リョ………ク。」


開いた目の前には、やっぱり僕の大好きなリョクの顔があって。


「なに………が?」


一体、何があったのかわからない僕は、リョクの腕の中からさっきまで自分が居た場所を見る。


僕が変に動いた所為で、さっきまでもたれ掛かっていた机は元の位置からずいぶんと動いてしまっていた。
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