花は野にあるように
「ミキ、『女優』って言われたの、不満なんだろ?」


不意に、僕にだけ聞こえるぐらいの小さな声でリョクがささやいてきた。


「え?」


驚きながら僕はリョクを見上げた。


うそ。


僕、口に出して言ってないつもりなんだけど。


「顔に出てた。
………ってのは冗談だけど。」


なんだ。


「ビックリさせないでよ。」


本気でビックリしたんだからねっ!


そう文句を言いながら、僕はまだリョクの腕の中に居た自分に気がついた。


「ゴ、ゴメンッ!」


慌てて謝りながらそこを飛び出す。
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