花は野にあるように
昨日のチカン。


……ホントにリョクじゃなかったのかなぁ?


僕がちょっとそんな事を考えたのが判ったみたいに。


リョクの手が、すうっと僕の肩から離れていった。


それと同時に、車内に更に人が流れ込んできて。


慌てて僕は片手で握っていた吊り革を、両手でしっかりと握りなおして流されて行かないように精一杯に足を踏張った。


これ以上押されちゃうと、本気で僕がひらべったくなっちゃうよ。


押し潰されそうな人込みと、熱気で息もまともに出来なくなる。


1ミリだって身体を動かす事なんて出来そうにない空間で、僕は必死に吊り革にしがみついていた。
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