花は野にあるように
ゆっくりと電車はまた走り始め。


あと少しの時間、身動きも出来ないままで吊り革にぶら下がってるんだなぁと、曇ったガラスをぼんやりと見ていた僕の背中に。



誰かの手が当たった。




その手は、はっきりとわかるぐらいの意志を持っていて、僕の背中をいやらしい動きで撫でさすった。



………リョク……?


リョクがまた、悪戯しているのかとも思ったけど。


違う!


この手はリョクみたいに、あったかくないっ!


………チカンだっ!
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