花は野にあるように
だけど、僕は勇気を振り絞って口を開いた


「あの………ね?」


ためらいながら言う僕の言葉の続きをリョクは少し首を傾げたままで待ってくれる。


「………今まで言い出せなかったんだけど。」


言い出す為に必要な勇気が足りなくて、僕の言葉はすぐに途切れる。


「………ん。」


小さく相づちをくれたリョクに先を続ける勇気を分けてもらって、僕はまた口を開く。


「ずっと考えていたんだけどね。」


「………ああ。」


少し掠れたような。


だけど間違いなく僕の大好きな声が先を促してくれる。
< 992 / 1,416 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop