にょんさま。
ぷるぷると震えながら、とりあえず道まで這い上がってきたにょんは、そこでパァッと顔を輝かせた。
向こうから四季が歩いて来るではないか。
(*゚▽゚*)「にょ〜♪(はわ〜神♪確かあの人は忍の王子様でし♪王子様についていけば、忍のお家もきっとわかるでし♪)」
周りの人を驚かせないように半分地面に潜りながらついていくことにした。
にょんがついて来ていることを知らない四季は、時々咳をしながら歩いて行く。
(;・ω・)「にょー…(おや…王子様は体調よろしくないみたい?)」
王子様が倒れたら守らねば、とにょんは心に誓う。
もっともどうやって守るのかはにょん自身にも不明である。
──と、忍とにょんが出会ったコンビニの近くに来たところで、大粒の雨が降りだした。
(‖゚▽゚)「にょー!!(はわー!!雨らー!!さささ寒いでしー!!)」
雨を凌ごうとコンビニ目指して走り出したにょんだったが──ふと気づくと四季は走ろうともしない。
(‖゚▽゚)「にょー!!(おおお王子ー!!何してるでしー!!はわ!?)」
見ると四季は手に子猫を抱いていた。捨て猫だ。まだ小さい。そのまま放っておくと雨に打たれっぱなしであったろう、道端の箱の中から抱き上げて、四季はにょんより少し遅れてコンビニまで走って来た。
「あー…最悪」
四季は楽譜の水滴を払うと、子猫を抱いたまま困ったように座り込んだ。
深く考えることなく、とっさにそうしてしまっていたのだ。子猫はミーミーと泣いた。
「うち、飼えるかな…」
四季はペットを飼ったことがない。動物は嫌いではないが、少し前に病気をしていた時に免疫力の低下を言われたりしていたから、気にはなる。
「どうしよう…」
雨はしばらくはおさまりそうになかった。座り込んだまま考えていると、身体は冷えて頭は熱を持ってきているように感じた。