にょんさま。
四季は驚いたように目をまるくする。
「川に指輪を?さっきの時間、何かあったの?忍は大丈夫?」
(・ω・)「にょにょー(直接言い合いになるようなことがあったわけではないです。指輪を見てもいい?っていう女の子がいて、忍は指輪を外してその子に渡してあげたんです。その時に、忍だけ先生に呼ばれて楽譜を取りに行ったんです。その間、王子様のことを好きらしい別の女の子が忍に嫉妬して、その女の子から指輪を取り上げて、窓から外に…)」
話の一部始終を聞かされて、四季は深刻な様子になった。
「そんなことあったんだ…」
(・ω・)「にょー(王子様はかなりおモテになられますね。女の子トラブルにはお気をつけて)」
「うん…。そうだね。気をつける」
にょんから指輪を受け取り、さっき忍から来たメールのことを話す。
「忍から‘急用が出来たから先に帰って。ごめんね’って入っていたんだけど…」
(・ω・)「にょー(急用というより、泣き顔を見せたくなかったんじゃないでしょうか。好きな人からの指輪なんて無くしたら、それは落ち込むと思います。泣いたら、王子様心配するし…。指輪をくれた王子様に指輪を無くしてしまったなんて言えないし。最近、忍はその指輪をよくつけてるって女の子が言ってました)」
そうだ。そのことは四季も気づいていた。
もしそのことで忍が落ち込んでいるのだとしたら、自分が忍に愛されていないのではなく──。
「指輪なんか、どうでもいいのに…」
四季の口からそんな言葉が零れていた。
自分が忍にあげたかったものは笑顔だ。そんなことで忍が心を痛めているのなら、それは本意ではない。