にょんさま。



 四季は「よくわからないけど、可愛いからいいよね」とのんびりと言った。

 忍はちょっと怒ったような口調になる。

「でも四六時中ずっとそばについていられたら困るよ」

「四六時中…」

 何を想像したのか、四季もそこで初めて複雑な表情になった。

「それは…確かに。僕よりも忍のことを知っている人がいるのは嫌かも」

 真面目にそう言われて、忍はほっとする。

 にょんはますます小さくなってしまった。

(;_;)「にょー…(やっぱり迷惑?迷惑?」

 四季は「迷惑っていうか…」と優しい声で話す。

「忍が好きなの?どうしてついてまわりたいの?一昨日までは忍のそばにはいなかったんだよね?」

(;_;)「にょにょー(にょん、道で干からびてたんです。雨が降っていたけど、にょんは心無い雨では、元気になれないんです。にょん、死にかけてたんです)」

 それはまた随分な話である。

(;_;)「にょにょー(にょん、雨に打たれたまま、このまま死んじゃうんだろうなって思ってたら、コンビニの前で、小学生の女の子が傘を持っていないのが目に入ったんです。その時、通りかかった女の人が女の子に『これ使って』って傘を差し出したんです」

「私?」

 忍は思わずそう反応してしまっていた。にょんは「にょー」と肯定した。

(;_;)「にょにょー(にょんはそれを見て元気になったんです。それで、この人について行ったら大丈夫だと思ったんです。でも、今度は離れられなくなってしまったんですー)」



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