特別な日 ~ St. Valentine's Day ~ (完)
放課後
「うそっ!帰っちゃったの!?」
「たぶん…カバンないみたいだし」
人気の少ない廊下の端あたりから、こそこそと話している女子の声が聞こえてくる。
ここまでの道のりの中、あちこちでカップルの姿を見つけた俺は、ウンザリしていた。
廊下にも、中庭にも、教室にも。
そこらじゅうに、ピンクなオーラ。
委員会の後、そのままさっさと帰れば良かった。
虚しすぎるだけだ。
教室に忘れものした俺が悪いけど。
結局、放課後まで君からは何の音沙汰もなかった。
人生なんて、そんなもんなのかもしれない。