SWEET HOME
「突然すみません、藤谷の携帯にかけても出なかったので…」


「いえ」


恐縮していたけど、なんだか慌てている様子。


会社でなにかあったのかな…?


そんなことを考えていると、


「至急連絡を取りたいのですが、家におられますか?」


おかしなことを口にする彼。


よっぽど慌てているらしい。


「今出張で大阪に行ってるはずでは…」


「え…?出張…?」


奇妙な沈黙が、電話の間に流れる。


でもそれは数秒のことで、


「そうでした!忘れてましたすみません!」


彼の勘違いということで、慌ただしく通話が切れた。


なんだったんだろう…


あたしの中に疑問が残ったけれど、すぐに消える小さなものだった。

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