SWEET HOME
祝福のムードがすっかり消えた教会は張り詰めた空気で満たされ、関係者や駆けつけた救急隊員が絨毯の上に無残に散らばった花びらを踏みつけていく。


あたしはハンカチで口元をおさえながら、映画のようなその光景をぼんやりと見つめていた。


目の前で起こっていることなのに、まるで現実とは思えない。


真っ赤に染まった白いドレス。


クリーニングしてももう落ちないかしら?なんて、考えていた。


遠い遠い国のお話。


あたしには関係のない、世界。


無意識のうちに薬指の指輪に触れながら、



幸せは、一瞬で終わってしまうのね。



そう心の中で呟いた。


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