君と僕の関係 ~ St. Valentine's Day ~ (完)
「まぁ、あたしはイジるの好きだし、さえのことかわいくて仕方ないんだけどねっ。イジりがいあってさ♪」
あははっ、とさえの友達は笑う。
イジりがい…?
また、さえとは程遠い言葉だ。
「ねぇ、さえがドMって何?」
「え?あの子、そうでしょ?――あ、前の彼氏に『ウザい』ってフラれてからは抑え気味っぽいけど…根っからのMだし、無理だよねぇ。最近は強がること多くなったけど、構ってもらいたい裏返しだし」
彼女の口から出てきた言葉は、オレが知らないことばかりだった。
…オレって、さえのことほとんど知らないのかもしれない。
結構ショックだな…。
「……ふーん…構ってもらいたい裏返し、ねぇ…」
確かに思い当たる節は…なくはない気がするけど…。
「まさが言ってた話とえらく違うな。別人なんじゃないか?」
「いや…何か、ピースがはまる部分がいくつかある気はする…んだよな」
「そうなのか?」
「んーーー…」
今まで考えたことなかったから、気付かなかっただけかもしれない。
確かめてみてもいいかもな…。
いい機会をくれた口の軽いさえの友達に感謝かな。
オレは決心するように、パンっと手のひらと手のひらを合わせる。
「ごち!じゃ、オレ先に戻るなっ。お友だち、ありがとね!」
オレは食器をカウンターに置き、教室に戻った。