君と僕の関係 ~ St. Valentine's Day ~ (完)
 

「ん?あ。」



これ、チョコレートだ。



いかにもバレンタインチョコですよーという、かわいい包装紙に包まれた小さな箱。



「チョコみたいだね。後で一緒に食おか」



義理チョコだってわかってるし、何気なく言った一言だった。



「………」



あれ…何かさえの表情が…。



これは、怒ってる…のかな?



「さえ?」



「――ふみのバカ!」



「え?ちょ…」



さえがオレの前から遠ざかっていく。



登校中の生徒の間をすり抜けていく姿を、目で追うことしかできない。



オレは、何が起きたかわからなくて、呆然と立ち尽くしていた。



いつものさえなら、絶対オレのことからかうはずなのに。



どうしたんだろう?

 
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