雨粒のワルツ
「ああ、あのウワサ聞いたの?」

彼はそのままの笑顔で私の手を握る。

細くて長い指先。

少しひんやりして気持ちが良かった。

「僕はホモじゃないからね。あれは女除けの呪文だよ」

くすくすと笑いながら、センパイが握った手を揺らした。

「ところでキミは、あの山根久満氏の娘さんだよね」

あ・・・

センパイは悪びれる素振りもなく、さらりと言ってのけた。




政治家・山根久満



それが父の名前

厳格で曲がったことが嫌いな父は私にも厳しい。


バイオリンも父から強要されて続けてきた。

本当はお稽古なんかせずに友達と遊びたかった。

彼氏とデートだってしたかった。

小さいころからいろいろな制約がついてまわって、息苦しくて仕方なかった。

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