アイムホーム
「あーヒロのせいじゃない。フミは7年前、ここで恋人を亡くしたんだ」
「事故かなんか?」
「そう。ダイビング中にフミを助けようとして」
カオルの言葉は淡々としているけど、その少ない言葉の中に悲しみが見え隠れしている。
そして、その言葉に玄関のあのボロボロのウェットスーツが思い浮かんだ。
それで・・・
「俺はフミの恋人・・・ケンと親友だった」
カオルは少し悲しそうに眉をひそめ、俺が並べたフルーツをカットし始める。
「そっか・・・」
じゃあ、オーナーは今もまだそいつのこと・・・
「ちょっと、なんか暗いじゃない!!」
キッチンで男二人がしんみりしている雰囲気をぶち壊すようなオーナーの声。
無理して明るくしようとしているのだろうか・・・