アイムホーム
「・・・もうお前も大人だから、自分で道を選びなさい」



聞かされた話はにわかに信じがたい話だった。


俺は八木澤勝也の子ではない、という話だった。


母親と母親の実家にいる使用人の子だと明かされたのだ。


うちは父と母と兄、姉と俺の5人家族だった。


いや、姉の亜澄は養子縁組された子で本当の家族ではない。


年が1つしか変わらなかったから、ずっと一緒に過ごし

ずっとずっと亜澄のことが好きだった。

血がつながってないんだから、好きになってもいいはずだった。

だけど、母親のほうが猛反対をして俺を海外へと放り出した。

高校を卒業した年に、強制的に帰国して亜澄を連れ出すはずだったけど

亜澄はいつの間にか兄貴を好きになっていて、今度は亜澄が追い出されそうになっていた。

でも、結局俺は何も出来なかった。

執事の秋月が亜澄を連れ去ったんだ。

そして、なかば強引に自分のものにしてしまった。

なのに、大学を卒業すると同時に亜澄はそいつと結婚して八木澤家を出て行った。

正直、結婚式もおとなしく出席するんじゃなかったと後悔もした。

話はその時にされたものだ。
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