アイムホーム
別に口移しじゃなくても、良かったんだ。
じゃあ、なぜそうした・・・?
わかってはいたけれど、認めたくない想いがそこにある。
そして認めたところで、この想いは一生叶わない。
死んだ相手にかなうはずなどない。
そう、これは「嫉妬」だ。
顔も知らない、今はここに存在しない魂への・・・
俺はゆっくりと乱れたフミの髪を撫でた。
「ん・・・」
すると、フミは苦しそうに寝返りを打つ。
その瞬間、布団からはみ出たフミの右手の薬指に目が釘付けになった。
そこにはめ込まれていたのは、多分ケンから贈り物なのだろう。
唐草模様のようなハワイアンジュエリーのデザインの指輪だった。