アイムホーム
気がついたら、キスしてた。
耳に流れ込んでくるのは、静かな波の音だけ。
じりじりと肌を焦がす太陽の熱も感じない。
ただ彼女の唇の熱を感じていた。
唇がゆっくりと離れると、俺たちはそのまま見つめあった。
彼女の唇に触れて、改めてわかった。
俺はフミが好きだ。
だけど、そうはっきりと伝えるにはフミの心の壁が厚すぎて
もう少しだけ時間が必要だと思った。
しばらくすると、フミは俺の手から指輪を奪い取って走り去った。
それから1週間、フミは実家に緊急の用事があるとかで店には姿を現さなかった。