アイムホーム
カオルと一緒に庭に出ると、海風が気持ちよかった。
昼間の暑さは影をひそめ、頬を撫でる風が心地いい。
「いいのか?」
「え?」
カオルは部屋から持ってきた沖縄ビールを1本俺に渡すと、すぐに自分の分のプルタブを引いた。
「俺も恵美香と結婚するときに苦労した」
そういえば、両親に許してもらうために、強硬手段に出たってあれか。
「でも、気持ちは偽らなかった。だから、今は幸せだ」
カオルはぐいっとビールを飲み干す。
結構飲んでいるはずなのに、その横顔は普段とまったく変わらない。
「お前は今、幸せか?」
カオルの言葉が胸の中で渦巻く。
素直に気持ちを伝えないで、このままフミを手放すのか
言葉にされなくても、俺にでもわかる。