アイムホーム
俺は悩んだ。
気持ちは伝えたつもりだ。
あのキスは精一杯の俺の気持ちだった。
だけど、フミの心にはケンがいる。
永遠に美しい思い出のままのケンに俺がかなうはずがない。
「ケンのことは考えるな。お前はどうしたいんだ」
カオルはそれだけ言うと、あっという間に空になった空き缶を持って部屋に戻っていく。
俺はどうしたいんだろう・・・・
結局答えは出ないまま、俺はフミと二人自分たちの部屋に帰ることになった。
大きなフミのトランクケースを無理やり俺が持った。
パンプスを履いたフミはなんだか小さな女の子のようで、いつものような元気はない。