アイムホーム
「とにかく、おかえり」
「ん。ただいま」
街頭がぽつんぽつんとしかない海際の道路を二人で歩く。
昼間と同じ波の音が少しだけ気持ちを落ち着かせてくれた。
「・・・」
でも、それっきりお互いに何を話せばいいのかわからず、無言のままゆっくりと歩いている。
俺はどうしたい・・・?
再びさっきのカオルの言葉を思い出す。
不意に隣を歩くフミの指先が俺の手に触れた。
「あ」
その瞬間に、小さく声を漏らしたフミの手を俺は少し強引に握る。
何かが俺の中に火をつけたような感覚。
初めてしっかりと握ったその手はとても小さくて、柔らかくて、か弱い女の子だった。