アイムホーム
「この辺に住んでるんですか?」
俺はゆっくりと海水に足を浸す。
沖縄はこんな朝一で海辺に人がいることがある。
都会に住んでいた俺にはなんとも不思議な光景だった。
「そう、すぐそこのアパート」
オーナーは青い屋根のアパートを指差した。
こじんまりとした沖縄っぽい建物だった。
「ヒロは?散歩?」
「ああ、まぁ」
特に何かしようと思ってきたわけでもないので、俺は曖昧に返事を返した。
「ねえ、なんで突然沖縄に来たの?」
オーナーは屈伸を終えると、バスタオルを俺に向かって投げた。
慌てて受け取ると、オーナーはためらいもなくじゃぶじゃぶと海へと入っていく。
「なんとなく」
本当になんとなくだ。
家族で旅行に来たことがあるってくらいで、他には特に理由はない。