クレパス
「おはよ」
笑って挨拶された。
笑って、なかったけど。
微妙な気持ちになり、ぎこちない作り笑いになってしまった。
高木くんがいるんだ。
授業中とか、どうしよう。
毎回毎回、どきどきしっぱなしで授業中受けられないっ!
「えっと……辻野さん……だよね?」
にこにこ、と擬音がつきそうな笑顔。
どうしよう……。
「ユズキでいいよ」
「あ、じゃあユズで」
また、笑った。
(このときからわかってたよ、君が私じゃ駄目なこと。)