『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
「めずらしいね、香奈が一番最後に来るなんて」
咲も声を掛けた。
その顔は今朝のような無表情ではなく、朗らかな笑顔だった。
その笑顔に、さっきまでの不安はどこへ行ったのか、香奈も笑顔になった。
弾けんばかりの笑顔になり、声も明るくなる。
「いいじゃない!それよりさ、今度の日曜にみんなで遊ばない?」
「俺パス!日曜はきょーこちゃんとの約束があるからね!」
淳は即決に断った。
「私は空いてるよ」
咲は香奈の誘いに乗る。
一度、全員の視線が咲に集まった。
そしてそこに昂も乗る。