『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
協奏曲【コンチェルト】
偶然or必然?
夜空には輝く満月がある。
空気は恐ろしいほど澄み切っていた。
咲は明日に控えた遊びの約束について、香奈と電話で話していた。
「じゃあ、明日は10時に駅ね!」
電話の向こうの香奈の声ははずんでいる。
「わかった。淳と昂には言った?」
「ばっちりよ!ぬかりはないわ」
それを聞いた咲は、さすが香奈、と心の中で思う。
勉強となるとそうは行かないが、行事や遊びとなるとその計画性に穴はない。
それが勉強にも表れれば、高校入試で香奈は悩んでいなかっただろう。
咲は内心ため息をつく。
「それじゃ、また明日」
「うん!また明日!!」
香奈の声は最後まで明るかった。
咲は電話を切った。
ふぅ、ともう一度ため息をつく。
そして、電話の前に続けていた作業に戻った。