『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
「それより、淳はどうしてここにいるの?」
「俺?俺はトイレから出てきたらここにいた」
淳は痛みのために立ち上がれないのか、腰に手をついて座り直しながら言った。
つまり、淳もドアを開けたらここにいたのか。
咲は一人で黙想する。
同時に、淳みたく上空から落下しなくてよかった、と思う。
その時だった。
「きゃああぁぁぁ!!」
再び悲鳴が聞こえた。
そうかと思うと、再びドスンと何かが落ちる音がした。
ただ、その落下地点は草の上ではなく、咲の目の前、淳の上だった。
「いったぁい!!」
「いってぇ!!」
淳と落下物の声が重なる。
またしても人間のようだ。
落ちてきた人物が顔をあげた。