『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
「ここどこよ・・・。あっ、咲!」
その人物、それは香奈だった。
「どうして咲がここにいるの?ってか、ここどこなわけ?」
咲は苦笑しながら答えた。
「私もさっき来たんだ。でもどこだかは分からないや」
そう言って、ちらりと香奈の下に目をやる。
「それより香奈、そこどいてあげよう」
香奈はふぇっ?と間の抜けた声を出し、自分の下を見た。
「やだっ、淳!どうしてここにいるのよ!」
「お前が落ちてきたんだろ?!早くどけよ!!」
淳は真っ赤になりながら叫ぶ。
「ん、ごめん」
香奈はさっと立った。
潰されるような形になっていた淳は、上半身を起こしぎわにぼそっと呟いた。
「ったく、重いんだよ」