『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
ラントゥール王国
咲、香奈、昂、淳は穏やかすぎる草原に座っていた。
香奈も自室のドアを開けた時、昂は塾の教室のドアを開いた時にここに来てしまったようだった。
「もう、なんで咲と昂は落ちなかったのよ」
香奈は何よりも空中から落とされたことに不満があるようだった。
「問題はそこじゃないよ。どうやって元に戻るか、だ」
すかさず昂が突っ込む。
「四人共、ドアを開いた時にこっちに来たんだろ?だったらもう一回どっかのドアを開けばいいんじゃね?」
淳が言う。
珍しくまともなことを言った、と咲は思った。
失礼にも程がある。
「そう簡単にいくかなぁ?」
香奈が言った。
「まぁ、どっちにしてもだ。このままここに居ることは出来ないよね。やがて陽も暮れるし、食料もいると思う」
昂はそう言って、立ち上がった。