『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】




「よし、この丘を降りてみよう。町か何かがあればラッキーだ」

「そうだね。もし、淳の言う通りだったらドアが必要だから、ドアも探そう」

咲も賛同して立ち上がる。

その時だった。

「そこに居るのは誰だ!!」

咲の背後、と言っても大分後方に離れた所から、誰かが咲達に向かって叫んだ。

四人は驚いて、思わず振り返る。

丘の向こうに男が立っていた。

黒を基調とした、まるで何かの制服のようなものに身を包んでいる。

「あれ、だぁれ?」

香奈が可愛らしく首を傾げた。

「知らねぇよ。俺に聞くなよ」

淳がきっぱりと言い放つ。

先程の男の叫んだ声を聞き付けたのか、同じような服を着た男が2、3人集まってきた。





< 30 / 49 >

この作品をシェア

pagetop