『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
「よし、この丘を降りてみよう。町か何かがあればラッキーだ」
「そうだね。もし、淳の言う通りだったらドアが必要だから、ドアも探そう」
咲も賛同して立ち上がる。
その時だった。
「そこに居るのは誰だ!!」
咲の背後、と言っても大分後方に離れた所から、誰かが咲達に向かって叫んだ。
四人は驚いて、思わず振り返る。
丘の向こうに男が立っていた。
黒を基調とした、まるで何かの制服のようなものに身を包んでいる。
「あれ、だぁれ?」
香奈が可愛らしく首を傾げた。
「知らねぇよ。俺に聞くなよ」
淳がきっぱりと言い放つ。
先程の男の叫んだ声を聞き付けたのか、同じような服を着た男が2、3人集まってきた。