『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
近づいてくると、より分かる。
友好的な空気はかけらも見られない。
肌を刺すようなピリピリとしたものだけを強く感じる。
「(これが殺気と言うものか・・・)」
咲は内心呟く。
「まさか、俺達を殺しやしねぇよね?」
淳は冷や汗を浮かべながら言った。
香奈は淳の後ろに隠れる様にして怯えていた。
男達は咲達の数歩手前で止まった。
「お前達は何者だ!!ここで何をしている!!」
男達は構えた剣を下ろそうとはしない。
どこかの兵士のようだ。
ちょっとでも動いたら斬られそうだ、と咲は思った。
黒と白のみで作られた服を着た男は三人いた。
それぞれ赤茶けた髪、水色の髪、オレンジの瞳などをしている。
咲達とは大分ちがう種族のようだ。