『彼女』に送る夜想曲【ノクターン】
「待って下さい。俺達は民間人です」
昂は落ち着いたように言う。
だが、その声に落ち着きなどなかった。
「嘘をつくな!!黒髪黒眼の者などこの世界にはいない!!」
「え?」
香奈が声をあげる。
咲も考え込んだ。
黒髪黒眼がいない?
日本人は黒髪黒眼だ。
それがいないということは、ここは日本じゃない?
「(あぁ、もう訳が分からない・・・)」
ついさっきまで自分の家にいた。
ところがドアを開いたらここにいた。
更に、今は剣を向けられ危なくなっている。
一体どうなってると言うんだ。